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以前よりも感情コントロールが求められるようになった社会的背景

感情労働が求められる社会的背景

なぜ、これほどまでに感情労働が求められるようになったのでしょうか。その社会的背景を見ていきましょう。

感情労働が求められる社会的背景

サービス業の増加

サービス業の増加

感情労働が求められるようになった社会的背景として、サービス業の増加や常態化が関係しています。物品ではなくサービスを提供する、いわゆる第三次産業を指します。日本においては、少子高齢化による医療・福祉分野の需要増、生活必需品以外の娯楽・レジャー市場の拡大、利便性を重視したサービス提供形態の普及などが主な要因です。ITや運送技術の高度化によって、以前よりも簡単に物品を手にすることができるようになり、外出の手段も豊富になりました。それに伴い、サービスの提供量や人材の確保が必要になり、感情労働の割合も増加していったのです。

インターネットやSNSの普及

インターネットやSNSの普及

インターネットやSNSの普及も感情労働の増加に関与しています。特にX(旧Twitter)やInstagramなどのSNSは日常生活に深く関わり、個人間だけでなく企業間や個人と企業をつなぐツールとして大きな役割を担っています。一方で、ネガティブな情報が拡散されると企業は窮地に立たされることになるため、デリケートな運用が求められます。これまで、店舗に対して直接きていたクレームが、SNSを通じて一瞬にして外部に広がるようになりました。企業イメージの保護や情報化においてSNSは重要な存在です。広報や接客スタッフだけでなく、本来であれば顧客と直接会うことのない職種においても、営業時間外での行動や振る舞いが監視されるような状態であることから、感情労働が求められる機会が増加しました。

顧客満足度が重視されるようになった

顧客満足度が重視されるようになった

サービス業は競争が激しい業界です。競合他社との差別化を図るために様々な取り組みが行われていますが、その中でも特に重視されるのが顧客満足度です。顧客満足度は、1980年頃に生まれた指標です。顧客のリピーター化や消費単価の向上などにおいて重要な役割を担う指標で、顧客満足度を無視したサービス業は存在しないといってもいいでしょう。しかし、ある程度指標化しているとはいえ、顧客の心理的・感覚的な評価は曖昧な部分が多いのも事実です。事前に入念な調査を行っていたとしても、それが結果につながらないこともあります。そのため、顧客満足度に直結する窓口や部署で働く人には高度な感情労働が求められる状況になっています。
また、顧客とのパワーバランスが以前とは変わってきていることも影響しています。昔とは違い、現在はインターネットの普及などを理由に、顧客は膨大な選択肢の中から自分がお金を払う対象を決められるようになりました。顧客の力が強くなったことから、サービスを提供する側はより親切かつ丁寧な対応を求められるようになったのです。どの業界・職種にも感情労働的な側面は存在しますが、その割合は今後も拡大していくと予想されます。